流行語大賞になぜ違和感?選考結果とSNSの熱量ギャップを解剖

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流行語大賞になぜ違和感?選考結果とSNSの熱量ギャップを解剖
流行語大賞になぜ違和感?選考結果とSNSの熱量ギャップを解剖
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流行語大賞 2024 おかしい――年末の風物詩として定着している選考結果が発表されるたび、インターネット上には強烈な違和感と冷ややかな視線が交錯する。「そんな言葉、一度も聞いたことがない」「自分の周りでは誰も使っていない」という不満の声がX(旧Twitter)などのSNS上で一気に噴出する現象は、いまや師走の恒例行事と言っても過言ではない。

毎年12月が近づくとタイムラインを埋め尽くす「流行語大賞 2024 おかしい」という言葉の背景には、私たちの日常におけるメディア体験が根本から激変したという冷徹な事実が存在する。テレビ主導で全国民が同じ流行を共有していた時代は過ぎ去り、個人のスマートフォンの中で全く異なるトレンドが同時並行で進行しているからだ。

「おかしい」「聞いたことがない」と批判が相次ぐ理由とSNSとの温度差

「おかしい」「聞いたことがない」という批判が相次ぐ最大の要因は、リアルタイムな拡散力を持つデジタルプラットフォームと、従来型の選考システムとの間に生じている巨大な溝にある。若年層のトレンドを牽引するTikTokでは、数百万回再生されるダンス動画や独特のスラングが日々生まれては瞬く間に消費されていく。一方、X(旧Twitter)では社会風刺やネット文脈のフレーズが独自の熱量を帯びて拡散される。

しかし、こうしたSNSで爆発的なバズを起こした言葉が、必ずしも年間大賞やトップテンに選ばれるわけではない。アルゴリズムで最適化されたタイムラインの中で生きる現代人にとって、自分が毎日目にしていた言葉が無視され、馴染みのない言葉が「今年の顔」として掲げられる現象は、受容しがたい不協和音を生み出しているのだ。

『現代用語の基礎知識』と自由国民社・ユーキャンが歩んできた選考の歴史

この違和感を紐解くには、賞が歩んできた歴史と本来の意図を整理する必要がある。賞のベースにあるのは、老舗出版社である自由国民社が発行する年鑑『現代用語の基礎知識』だ。1984年に始まったこの企画は、その年に誕生した新語や時代の雰囲気を言葉として記録・保存する文化的な試みとして誕生した。

その後、通信教育大手の株式会社ユーキャンが特別協賛として参画したことで、メディア露出が急増し、日本中が注目する巨大イベントへと成長を遂げた。だが、根底にある目的はあくまで「その年の社会相を映し出す用語の記録」だ。ネット上の爆発的な瞬間風速や若者間のノリを評価したい視聴者の感覚と、年間を通じた歴史的記録を目指す主催者側のスタンスには、最初から構造的なズレが組み込まれている。

選考委員の顔ぶれと裏事情:姜尚中氏や俵万智氏らが担う役割

選考委員会の顔ぶれと決定プロセスの裏事情も、議論を呼ぶ大きな要素となっている。現在の選考委員には、政治学者で東京大学名誉教授の姜尚中氏や、歌人として現代の言葉遣いに深い造詣を持つ俵万智氏など、各界を代表する知性派の識者が名を連ねる。

彼らが評価の軸とするのは、単なる一過性の流行やバズの数値だけではない。言葉が持つ社会的インパクト、時代を象徴する批評性、あるいは日本語としての美しさや深みといった多角的な視点だ。どれほどネットで話題になっていても「一過性のノイズ」と判断されれば落選し、政治や経済、社会問題に切り込んだ硬派な言葉が選ばれやすい。選考委員会が持つ教養的・批評的なフィルターと、ユーザーが体感する「現場の熱量」の乖離こそが、選考結果に対する不信感の源泉と言える。

マスメディア業界中心の視点とTikTok・Netflix発ヒットの分断

選考基準において色濃く残るのが、マスメディア業界を中心とした視点だ。かつてはテレビのゴールデンタイムや新聞報道が国民の共通言語を作り出していたため、地上波のワイドショーやニュースで繰り返し流れる言葉が圧倒的なアドバンテージを得ていた。

しかし、エンタメの消費環境は一変した。Netflixをはじめとする動画配信サービスから世界的なヒット作が生まれ、Z世代はTikTokの短尺動画から独自の文化を形成している。地上波テレビを視聴しない層が急速に増える一方で、選考側が依然として「テレビ報道での認知度」を重く見る構図が続く限り、デジタルネイティブ世代が抱く「聞いたことがない」という冷め切った視線を消すことは不可能に近い。

大谷翔平の偉業と『不適切にもほどがある!』に見る受賞ワードの傾向

近年の選考傾向を振り返ると、老若男女に浸透したスポーツ界の偉業と、テレビドラマ発の社会派ワードが圧倒的な強さを見せている。前者の代表例が、前人未到の記録を次々と塗り替え日本中を湧かせた大谷翔平選手に関連する話題だ。彼の活躍はメディアの分断を超えて国民全体が共有できる数少ないトピックであり、選考委員会にとっても異論が出にくい着地点となる。

一方で、話題を集めたドラマ『不適切にもほどがある!』のように、コンプライアンスやハラスメント意識といった令和の価値観と昭和のギャップを痛快に描いた作品の言葉も選ばれやすい。単に流行した作品というだけでなく、現代社会が抱える葛藤やテーマ性を浮き彫りにした言葉かどうかが、トップテン入りの分かれ目となっている。

分断されるポップカルチャー:私たちが抱く違和感の正体

私たちが抱く「おかしい」という感情の正体は、日本社会から「全員が共有する単一のポップカルチャー」が消滅したことの表れだ。個人の嗜好は細分化され、アルゴリズムはそれぞれの興味に合わせた情報だけを届ける。誰もが自分専用のフィルターバブルの中で暮らす現代において、たったひとつの言葉を「今年の日本を代表する流行語」として定義すること自体、すでに限界を迎えている。 (出典: 流行語大賞 2024 おかしい(Yahoo!ニュース)

選考結果に対する批判や不満は、メディアの多極化と価値観の分散をリアルに映し出す鏡に過ぎない。年末の発表を「全員の正解発表」として受け取るのではなく、異なるクラスタで何が起きていたのか、マスメディアとネット社会の対立軸がどこにあるのかを観察するデータとして楽しむことこそが、現代のメディア空間を生き抜く知恵と言えるだろう。

流行語大賞 2024 おかしい
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