ゾゾスーツは現在どうなった?初代終了の真相と医療・BtoBへの大進化
2017年末、全身に無数のマーカーが散りばめられた黒いタイツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布が発表された際、日本中が近未来の到来に沸き立ちました。スマートフォンカメラで360度撮影するだけで瞬時に身体の3D寸法を計測できるという革新性は、EC業界のみならず社会現象として大きな話題を呼びました。しかし、あれから月日が流れた今、あの一大ブームはどう結実し、どこへ向かったのでしょうか。
結論から言えば、初代ゾゾスーツのサービスは完全に終了しており、アパレルの無料配布という形での一般展開は行われていません。しかし、その技術とデータ資産は決して潰えたわけではなく、進化した「ZOZOSUIT 2」や、医療・フィットネス領域へのBtoB展開、さらには足型計測「ZOZOMAT」や肌色計測「ZOZOGLASS」といった派生テクノロジーへと形を変えて力強く息づいています。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:初代ゾゾスーツはPB事業の撤退に伴いサービスを終了しており、現在は専用アプリでの体型計測も非対応。
- 要点2:後継機「ZOZOSUIT 2」はマーカー数を約50倍に増やして劇的に精度を向上させ、一般販売ではなく法人向け・共同研究用として稼働中。
- 要点3:計測テクノロジーはアパレル通販の枠を超え、側弯症の遠隔診断など医療やフィットネス領域、ZOZOMAT・ZOZOGLASSなどの特化型デバイスへ進化。
【現状総まとめ】社会現象を巻き起こしたゾゾスーツの現在は?
水玉模様のタイツを着用して部屋の中でくるくる回る姿がSNSに溢れかえった初代ゾゾスーツ。現在は専用アプリによる計測サポートが完全に終了しており、手元に当時のスーツがあっても体型を測定することはできません。
かつてファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOが掲げた「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ」という壮大なビジョンは、採寸精度のブレや莫大な配送コスト、注文集中による納期遅延といった壁に直面しました。その結果、一般ユーザー向けの無料配布モデルとしての初代スーツは役目を終えています。
しかし、プロジェクトそのものが消滅したわけではありません。蓄積された膨大な体型ビッグデータと画像認識アルゴリズムは、より高精度な計測システムへと引き継がれ、現在のZOZOの技術基盤を支える重要なコアコンピタンスとなっています。
初代ゾゾスーツ失敗の真相とサービス終了の理由|PB事業撤退の舞台裏
当時のZOZO創業者である前澤友作氏が陣頭指揮を執り、鳴り物入りでスタートしたゾゾスーツ。その開発経緯を振り返ると、当初は伸縮センサーを内蔵した高コストなスマートセンシングスーツとして企画されていました。ところが、製造の難航やコスト高から、ドットマーカーをスマートフォンのカメラで読み取る「マーカー認識型」へと急遽仕様変更された経緯があります。
この仕様変更こそが、後に「失敗」と囁かれる要因の引き金となりました。
最大の誤算は、ZOZO独自のPB(プライベートブランド)事業との連動不全でした。ZOZOは計測データをもとに、一人ひとりの体型にミリ単位でフィットする「オーダーメイド感覚のデニムやTシャツ」を大量生産・販売する計画を立てていました。しかし、ユーザーの撮影環境(照明の明るさやスマホの角度)によって計測値に数センチの誤差が生じ、届いた服のサイズが合わないというクレームが続出しました。
さらに、無料配布に伴う巨額の製造・物流コストが同社の営業利益を大きく圧迫。結果として2019年、ZOZOはPB事業の事実上の縮小・撤退を発表し、それに伴って初代ゾゾスーツの役目も終焉を迎えることとなりました。
進化した「ZOZOSUIT 2」の現在と入手方法|一般販売されない理由
初代のサービス終了から約1年半後の2020年11月、ZOZOは突如として新世代モデル「ZOZOSUIT 2」を発表しました。見た目は初代と似た全身タイツ形状ですが、中身は完全に別物へと進化を遂げています。
初代では約350個から400個程度だったマーカー数が、ZOZOSUIT 2では約50倍となる約2万個の極小ドットマーカーへと高密度化されました。輪郭の読み取り精度が飛躍的に向上し、平均誤差はわずか3.7ミリメートルという極めて高精細な3Dモデリングを可能にしています。
ここで気になるのが「ZOZOSUIT 2の発売日や入手方法」ですが、ZOZOSUIT 2は一般コンシューマー向けに無料配布されたり、ZOZOTOWN上で市販されたりしていません。ZOZOは本モデルを「オープンイノベーションプラットフォーム」と位置づけ、国内外の企業や研究機関とのアライアンス専用デバイスとして提供しています。そのため、個人が単体で購入して日常の体型測定アプリとして利用することは現時点ではできません。
アパレルから医療・フィットネスへ|ZOZO体型計測のBtoB展開
一般向けのアパレル販売から舵を切ったZOZOの体型計測技術は、現在医療・ヘルスケア・フィットネス領域におけるBtoB展開でめざましい成果を上げています。
代表的な事例が、東京大学医学部附属病院をはじめとする医療機関との共同研究です。背骨が左右に曲がってしまう「特発性側弯症」の患者に対し、従来のレントゲンによる被曝リスクを低減させながら、ZOZOSUIT 2を用いて背部の変形をミリ単位で高精度にトラッキングする臨床研究が進められています。
また、フィットネスやスポーツテック分野でも活用が進んでいます。ジムでのトレーニング成果を正確な3Dアバターとして可視化し、筋肉量や胴囲の変化をグラフィカルに提示するサービスなど、ヘルスケアテックの基盤技術としてZOZOの計測テクノロジーが組み込まれています。
ZOZOMAT・ZOZOGLASSとの違いと役割分担|計測技術の多角化
全身タイツ型のスーツがBtoBや専門用途へとシフトする一方で、一般ユーザー向けのアパレルEC支援として大成功を収めたのが、パーツ特化型の計測ツールである「ZOZOMAT」と「ZOZOGLASS」です。
それぞれの特徴と現在の立ち位置は以下の通りです。
ZOZOMAT(ゾゾマット):
足型を高精度に計測する専用マット。ミリ単位で足長・足幅・甲の高さを割り出し、ZOZOTOWN内の靴の木型データと照合して「相性度の高いサイズ」をパーセンテージでレコメンドします。靴のネット通販における最大の課題だった「サイズ不一致による返品」を劇的に減少させ、現在も多くのユーザーに愛用されています。
ZOZOGLASS(ゾゾグラス):
肌の色味を正確に測定する計測用メガネ。室内照明の波長に左右されることなく、スマートフォンの画面越しにフェイスカラーやパーソナルカラーを特定します。ZOZOCOSME(ゾゾコスメ)において、ファンデーションのカラー選びをサポートするツールとして爆発的な支持を集めました。
全身を覆うスーツから、靴やコスメといった「サイズ・色選びの失敗が起きやすい特定部位」へフォーカスを絞ったことが、ZOZOの計測テクノロジーを実用的な成功へと導きました。
手元にある初代ゾゾスーツの処分方法と捨て方|再利用の道はあるか
「昔注文したゾゾスーツがクローゼットの奥から出てきたが、どうすればいいのか」という疑問を持つユーザーは少なくありません。前述の通り、現在は計測用アプリが対応していないため、計測デバイスとしての再利用は不可能です。
初代ゾゾスーツの処分方法と手放し方には、主に以下の選択肢があります。
1. 自治体の分別ルールに従って可燃ゴミ・不燃ゴミに出す
初代ゾゾスーツ(マーカータイプ)は、ポリウレタンやポリエステルなどの一般的な化学繊維で作られた布製品です。金属センサーなどは入っていないため、多くの自治体では「可燃ゴミ(燃やすゴミ)」または「古着・布類」として廃棄できます。※お住まいの自治体の分別区分を事前にご確認ください。
2. フリマアプリやオークションに出品する
実用性はないものの、「社会現象を起こしたテクノロジーの歴史的資料」や「パーティーグッズ・コスプレ衣装」として、メルカリやヤフオク等で一定の需要が存在します。未開封品や美品であれば、数百円から千円程度で取引されるケースが見られます。
【ゾゾスーツ 現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:初代ゾゾスーツを使って今でも自分の体型をスマホで測れますか?
A1:いいえ、計測できません。ZOZOTOWNアプリ内の初代ゾゾスーツ計測機能はすでに提供を終了しており、現在アプリを起動してもスーツを使った測定メニューは利用できなくなっています。
Q2:進化した「ZOZOSUIT 2」は個人で購入したり無料でもらったりできますか?
A2:個人向けの販売や無料配布は行われていません。ZOZOSUIT 2は企業や研究機関との共同開発・アライアンス専用のデバイスとなっており、一般ユーザーが個別に入手することはできません。
Q3:ZOZOはもう服のサイズ計測サービスをやめてしまったのですか?
A3:アパレル全般のスーツ計測からは撤退しましたが、靴のサイズを測る「ZOZOMAT」や、手持ちの服の寸法と比較する「マルチサイズ」機能などは現在も活発に運用されています。また、スマートフォン単体のカメラで体型を推定する技術開発も継続されています。
Q4:昔のゾゾスーツを捨てるとき、特殊な電子ゴミとして扱う必要がありますか?
A4:初代の配布版スーツには電子チップや配線は含まれておらず、ドットがプリントされた布製品であるため、通常の衣類(可燃ゴミなど)として処分可能です。※最初期のごく一部に試作された伸縮センサー内蔵型を除きます。
まとめ:計測の挫折が生んだイノベーションと今後の展望
一時は「失敗」と揶揄された初代ゾゾスーツの挑戦でしたが、その舞台裏で得られた膨大な知見とデータは、現在まったく異なる形で花開いています。
一般ユーザーの手元からは姿を消したものの、その系譜は「ZOZOSUIT 2」による高度な医療支援やフィットネスソリューションへと昇華し、ECの現場では「ZOZOMAT」「ZOZOGLASS」という特化型ツールとして確固たる地位を築きました。派手なブームの先で、技術が真の実用性を獲得していく過程そのものが、ZOZOの計測テクノロジーが辿った現在地と言えます。 (出典: ゾゾスーツ 現在(Yahoo!ニュース))